新米に、ほくほくのさつまいも、ほんのり甘い栗――10月は秋の味覚が出そろう、実りの季節です。せっかくの旬の食材を、東洋医学の「五性」という考え方を知ったうえで味わうと、養生としての楽しみ方が広がります。今回は、吉野敏明医師監修のもと、秋の味覚と五性の食養生についてご紹介します。
食べ物の性質を分ける「五性」という考え方
東洋医学には、食材を体を温めるか冷やすかという観点から「熱・温・平・涼・寒」の5段階に分類する「五性」という考え方があります。生姜や唐辛子のように体を温める食材は「温」「熱」、きゅうりやトマトのように体の熱を冷ます食材は「涼」「寒」に分類され、米や芋類など、どちらにも偏らない食材は「平性」とされています。夏は涼性・寒性の食材で体にこもった熱を逃がし、秋から冬にかけては、体を冷やしすぎない温性・平性の食材を意識的に選ぶことが養生の基本と考えられています。旬の食材の性質を知っておくと、日々の献立を組み立てるうえでのひとつの目安になります。ちなみに柿は「涼性」に分類され、夏の名残の熱を冷ます一方で、食べ過ぎると体を冷やしすぎることがあるとされる食材です。同じ秋の味覚でも性質は一様ではなく、体調や量を意識しながら組み合わせることが養生のポイントになります。
新米・さつまいも・栗、それぞれの性質
秋の味覚の代表格である新米は、五性では体に負担をかけにくい「平性」に分類され、東洋医学では気を補う代表的な食材のひとつとされています。胃腸が弱っているときでも比較的取り入れやすく、日々の主食として体を支える存在と位置づけられています。さつまいもも同じく「平性」寄りで、胃腸にやさしく、豊富な食物繊維が巡りを助けると言われています。皮ごと調理することで、より多くの食物繊維を取り入れやすくなるとも言われています。一方、栗は「温性」寄りの食材とされ、体を内側から温めるとともに、東洋医学でいう「腎」の働きを補う食材としても知られています。腎は成長や老化、水分代謝に関わるとされる大切な臓のひとつで、栗のような腎を補う食材を秋のうちから取り入れておくことが、寒さの厳しい冬に向けた養生につながると考えられています。

秋の味覚を楽しむ、食べ方の工夫
新米を炊くときに栗やさつまいもを一緒に加える栗ご飯・さつまいもご飯は、それぞれの食材のよさを一度に楽しめる、季節にかなった食べ方のひとつです。冷え対策として、仕上げに生姜やねぎといった温性の食材を少し添えると、体を温める働きをより引き出しやすくなると言われています。反対に、冷たい飲み物や生野菜のサラダばかりを摂り続けると、涼性の食材が重なって体を冷やしすぎてしまうことがあるため、温かい汁物や蒸し野菜と組み合わせるなど、バランスを意識するとよいでしょう。栗やさつまいもを使ったスイーツも、冷たいアイスやゼリーではなく、温かいうちに味わう蒸し菓子や焼き菓子にすると、体を冷やしにくい楽しみ方になります。また、よく噛んでゆっくり食べることは、消化を助ける「脾胃(ひい)」の働きをサポートし、食材の性質を活かすうえでも大切な習慣とされています。忙しい時期こそ、食事の時間だけは慌ただしくならないよう意識してみるとよいでしょう。
食べ過ぎ・胃もたれを防ぐ、実りの秋の注意点
おいしいものが多い季節だからこそ、気づかないうちに食べ過ぎてしまうのも「食欲の秋」ならではの悩みです。腹八分目を意識し、就寝直前の食事はできるだけ控えることが、翌朝の胃もたれを防ぐ養生の基本とされています。また、間食で小さな満足を積み重ねるよりも、3度の食事の時間をできるだけ整えることが、脾胃への負担を減らすことにつながると言われています。栗やさつまいもは糖質を多く含む食材でもあるため、ご飯やパンなど、ほかの主食と重ねて食べる場合は、全体の量を少し調整するといった工夫も役立ちます。持病があってさつまいもや栗の摂取量に配慮が必要な方、体質面で不安がある方は、自己判断で食事量を大きく変える前に、医師や管理栄養士にご相談ください。
まとめ
新米・さつまいも・栗といった秋の味覚は、東洋医学の「五性」で見るとそれぞれ異なる性質を持っています。平性の新米・さつまいもで胃腸をいたわりながら、温性の栗で体を内側から温め、冬に向けた養生の土台を整えていきましょう。食べ過ぎには注意しつつ、旬の恵みを無理のない範囲で楽しんでみてください。
