台風や前線の通過で気圧が大きく変わる日に、なんとなく頭が重い、めまいがする、体がだるいと感じたことはありませんか。これは「気象病」とも呼ばれる不調で、東洋医学では体に余分な水分や重だるさをもたらす「湿(しつ)」の巡りが滞ることと関わっていると考えられています。今回は、気圧の変化と体調の関係、そして今日から始められる養生の工夫をご紹介します。
その不調、「気象病」かもしれません
秋は台風や秋雨前線の影響で、気圧が短期間に大きく上下しやすい季節です。気圧の変化は耳の奥にある内耳のセンサーで感知され、その情報が自律神経に伝わることで、血管の収縮・拡張のバランスが崩れやすくなると言われています。結果として、頭痛やめまい、肩こり、だるさ、古傷の痛みなどが出やすくなる方も少なくありません。近年では「気象病外来」を設ける医療機関も見られるようになり、天気と体調の関係は広く知られるようになってきました。「天気が悪くなると調子が悪い」という感覚には、こうした体の仕組みが関わっていると考えられています。
東洋医学の視点:「湿」が巡りを滞らせる
東洋医学には、体に溜まりやすい余分な水分や重だるさのもとを「湿」ととらえる考え方があります。湿気の多い時期や気圧が下がる場面では、この「湿」が体内に停滞しやすくなり、特に消化器(脾胃)の働きが弱い方やむくみやすい方は、その影響を受けやすいとされています。頭が重い、体が鉛のように感じる、食欲がわかないといった感覚は、この湿の巡りの乱れと結びつけて説明されることがあります。
気象病になりやすい方に見られやすい3つの傾向
同じ気圧の変化でも、現れやすい不調のタイプには違いがあると言われています。ご自身がどの傾向に近いか、目安として参考にしてみてください。
| 傾向 | 現れやすい不調 |
|---|---|
| むくみやすい方 | 頭重感・まぶたや足のむくみが出やすく、湿が滞りやすい傾向 |
| 胃腸が弱い方 | 食欲不振・胃もたれが出やすく、脾胃の働きが低下しやすい傾向 |
| 首肩がこりやすい方 | 頭痛・肩こり・古傷の痛みが出やすく、気血の巡りが滞りやすい傾向 |

今日からできる、湿を溜めないセルフケア
特別な道具がなくても、日々の習慣で巡りを助けることができると考えられています。耳たぶを軽くつまんで前後にゆっくり回す耳マッサージは、内耳周辺の血流を促す簡単なセルフケアのひとつです。手首の内側、しわから指幅3本分ひじ寄りにある「内関(ないかん)」というツボは、東洋医学でめまいや吐き気の緩和に用いられてきた場所とされ、親指で優しく押すセルフケアとして知られています。また、冷たい飲み物や生野菜の摂りすぎは体を内側から冷やし、湿を溜め込みやすくすると言われているため、温かいスープや根菜を意識的に取り入れるとよいでしょう。じんわり汗ばむ程度の軽い運動も、余分な湿を巡らせる助けになるとされています。
巡りを促す、身近な養生食材
台所にある身近な食材にも、巡りを助けるとされるものがあります。生姜は体を温め、気血の巡りを助ける代表的な食材として古くから親しまれてきました。長ねぎや大葉といった香味野菜も、体を温めながら巡りを促すとされ、汁物や炒め物に少し加えるだけで取り入れやすい食材です。反対に、脂っこいものや甘いものの摂りすぎは湿を溜め込みやすくすると言われているため、気圧が下がりやすい時期はいつもより少し控えめにしておくとよいでしょう。
天気の変化と上手に付き合うコツ
気圧の変化が大きいと予想される日は、あらかじめ予定を詰め込みすぎず、休息の時間を確保しておくことも大切な養生のひとつです。天気予報アプリの中には気圧の変化を事前に知らせてくれるものもあり、こうしたツールを活用して心構えをしておくと、不調と付き合いやすくなると言われています。あわせて、その日の体調と天気を簡単にメモしておくと、自分がどんな条件で不調が出やすいのか傾向をつかみやすくなり、運動の強度や予定の入れ方を無理のない範囲で調整する材料になります。なお、頭痛やめまいが強い場合や長引く場合は、自己判断で済ませず、医師にご相談ください。
まとめ
台風や前線の通過で頭が重くなるのは、東洋医学的には「湿」の巡りの乱れが関わっていると考えられています。耳や手首のセルフケア、温かい食事、軽い運動という無理のない習慣を続けながら、気圧の変化が大きい季節を心地よく過ごしていきましょう。症状が強い場合や続く場合は、医師にご相談ください。
