朝晩の空気がひんやりと乾き始めると、なんとなく肌がかさつく、化粧のりが悪い、といった声が増えてきます。東洋医学では、秋は「肺」が乾燥の影響を受けやすい季節とされ、肺の巡りと皮膚の状態には深いつながりがあると考えられています。今回は、秋特有の乾燥のしくみと、内側からうるおいを育む養生習慣をご紹介します。
なぜ秋になると肌が乾燥しやすいのか
東洋医学には「肺は皮毛を主る(はいはひもうをつかさどる)」という考え方があります。肺は呼吸を通じて全身に気とうるおいを巡らせる働きを持つとされ、皮膚や産毛(皮毛)はその状態を映す鏡のような存在と考えられています。夏の間、汗として多くの水分を発散し続けた体は、その疲れを引きずったまま秋を迎えることが少なくありません。肺の働きが弱りやすいところに空気の乾燥が重なることで、肌のかさつきやくすみ、粉をふくような感覚、口や喉の乾燥といったサインにつながりやすいと言われています。
加えて、秋は朝晩の気温差が大きく、自律神経のバランスが揺らぎやすい季節でもあります。自律神経が乱れると血行が滞りやすくなり、肌の隅々まで栄養やうるおいが行き渡りにくくなることも、乾燥を助長する一因と考えられています。「秋は肌の曲がり角」と感じる方が多いのは、こうした季節特有の変化が重なっているためかもしれません。
秋の肌、うるおいのサインと乾燥のサイン

ご自身の肌が今どちらに近いか、まずはチェックしてみましょう。乾燥のサインが多く当てはまる方は、外側からのスキンケアを丁寧にするだけでなく、体の内側から巡りとうるおいを整える養生を意識してみるとよいでしょう。逆に、うるおいを保てているサインが多い方も、これから本格化する乾燥シーズンに向けて、今のうちから習慣を整えておくことをおすすめします。
内側からうるおう、秋の美容養生3つの習慣
東洋医学の養生では、乾燥対策は「外側の保湿」と「内側のうるおい」の両方が大切だと考えられています。日々の暮らしに取り入れやすい3つの習慣をご紹介します。

特別なことをする必要はなく、毎日の小さな積み重ねが、乾燥に負けにくい肌へとつながっていくと考えられています。特に食養生では、白い色の食材が体を潤すとされ、昔から秋の食卓に取り入れられてきました。
| 食材 | 期待される働き |
|---|---|
| 梨 | 水分が豊富で、肺をうるおすとされる代表的な果物 |
| 白きくらげ | とろみのある食感で、体の内側からうるおいを補うとされる |
| 豆乳・豆腐 | 大豆の恵みで体に負担をかけにくく、日々取り入れやすい |
| れんこん | 粘りのある成分が、喉や肌のうるおい維持を助けるとされる |
呼吸で巡らせる、簡単セルフケア
肺の養生というと難しく感じるかもしれませんが、まずは「呼吸の質」を見直すことから始められます。背筋を軽く伸ばして座り、鼻からゆっくり4秒かけて息を吸い、口または鼻から6〜8秒ほどかけて細く長く吐き出す。これを3〜5回繰り返すだけでも、呼吸が浅くなりがちな秋の体には効果的だと考えられています。朝起きたときや、乾燥を感じやすい室内での作業の合間、就寝前など、1日のうち何度か取り入れてみましょう。あわせて、加湿器や濡れタオルを干すなどして室内の湿度を保つことも、肺と肌のうるおいを守るうえで役立つとされています。マスクの着用も、外気の乾燥から喉や肌を守る手軽な工夫のひとつです。
巡りを意識した秋の過ごし方
東洋医学では、秋は夏の「発散」の時期から、冬に向けて体を「収める」時期への切り替わりと考えられています。予定を詰め込みすぎず、湯船にゆっくり浸かって体を温める、就寝前はスマートフォンから少し離れて呼吸を整えるなど、心身のペースを落とす工夫も、肺と肌の養生につながると言われています。冷たい飲み物のとりすぎや夜更かしは、肺の働きをさらに弱らせる要因になるとも考えられているため、この時期は少し意識して控えめにするとよいでしょう。乾燥や肌荒れが長く続き気になる場合は、自己判断で済ませず、医師にご相談されることをおすすめします。
まとめ
秋の乾燥は、東洋医学では「肺」の巡りと深く関わると考えられています。呼吸を深める、白い食材をとる、内と外からうるおいを届けるという3つの習慣を無理のない範囲で取り入れながら、季節の変わり目のうるおいケアを続けていきましょう。焦らず少しずつ続けることが、乾燥に負けない肌づくりの近道だと考えられています。
